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私たちは地球上にある0.3%の水しか利用できない。-水不足の問題が深刻化

水不足は世界の大きな問題になっている

地球上の表面は70%が「水」に覆われています。こう考えると「水不足」とは地球上にいる限り無縁な感じもします。自然界ではすべての動物や植物が直接、間接的に「水」に依存しています。私たち人間もそのうちの1つで、人口増加により水の利用は増え、農業の拡大や都市化、工業の発展にも水は欠かせないものであるため、ここ数十年の間に水の利用は急激に増加しています。

今回は日本にいると気づきにくい世界規模で起こる水不足の大問題について触れていきます。

水不足ダム 資源ドットネット

人々が利用できる「水」は地球上のたった0.3%

私たちはあらゆる場面で水を利用しています。飲み水、料理、洗濯、お風呂、庭の水やり、洗車。日本は海に囲まれ河川も流れ、雨もよく降るためあまり水問題に直面することはありません。地球上にある水14億㎦の97.5%は海に存在している海水で、塩分を含んだものになります。残りの2.5%程度が人や動物、植物などが必要としている淡水になりますが、この淡水の3分の2は氷河や南極大陸の氷床となっていて普段は利用できないような状態になっています。残りの3分の1の殆どにおいても地下水や地中の水として殆ど利用できない状態になっています。

ペリト・モレノ氷河 資源ドットネット
ペリト・モレノ氷河 アルゼンチン

つまり、私たちが飲み水や生活用水として使っている水や農業、工業用の水資源は地球上にある水のおよそ0.3%程度で、その需要が人口増加により年々増加しているということになります。

世界の水需要年々増加している

1900年以降、人口の増加により都市化も進み、経済が発展、農業・工業なども発展し、水の需要は5倍以上に増えています。水消費全体を見ると、その半分以上はアジアで使われています。工業や農業などが盛んな地域でも水の消費量は増え、更に都市化が進んだ先進国においても一人当たりの水消費量は年々増加傾向にあります。水需要は人口増加率の2倍のスピードで増加するとの試算もあります。

以下は世界の水使用量の多い国トップ10です。データは生活用水、工業用水、農業用水の1年間の合計です。

  1. インド  (761.00㎦)
  2. 中国  (598.10㎦)
  3. 米国  (485.60㎦)
  4. パキスタン(183.50㎦)
  5. イラン (93.30㎦)
  6. メキシコ(86.58㎦)
  7. ベトナム(82.56㎦)
  8. フィリピン(81.56㎦)
  9. 日本 (81.45㎦)
  10. エジプト(77.50㎦)

>>データソース:GLOBAL NOTE(世界の水使用量国別ランキング・推移)

この10ヵ国の1987年からの水使用量の推移をグラフ化したものが以下の通りです。

水使用量の推移
水使用量の推移

資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

(データは国により10年、5年のスパンで変更されているものがあるため、その期間の変化がグラフに反映されていないものもあります。)

インド、中国、米国はその使用量が突出していて、人口が多い国はもちろん、国土の広さや工業・農業が発展している国でも水需要が増えています。

隠れた水仕様を知る「ウォーターフットプリント」

私たちの生活の中で最も身近な水利用は飲用水やお風呂、洗濯などに使う生活用水です。しかし生活用水の割合は水利用においてはさほど高くなく、世界全体で考えると農業用水の利用が全体の70%と圧倒的に多いものになります。当然人口の増加が著しい国では食料の確保も重要な問題になり、その食を支えているのも農業ですから、農業が拡大すれば必然的に水の利用料も増加していきます。

もし私たちが1つのリンゴを食べるとするならば、1個のリンゴが私たちの手に届くまでに70リットルの水が必要になります。このように一人の人が直接飲み水などのように利用しているだけでなく、間接的に使われている水も含めた利用量を調べるのが「ウォーターフットプリント」と呼ばれるものになっています。これは人が生活していく為に企業や国が利用した水の量も示すことができるため、水資源の活用に有効です。間接的に利用された水の事をヴァーチャルウォーター(仮想水)と呼ぶこともあります。

散水 資源ドットネット
水は私たちの生活の中であらゆる場面でつかわれている(花への散水風景)

例えばイギリスでは毎日1人あたり145リットルの水を生活用水として料理や洗濯、お風呂などに利用しているといわれています。ところがここに間接的に使われている水まで計算に入れると、1人あたり1日3400リットルという桁違いな数値になります。

一人当たりの水の利用量は都市部では年々増加傾向にあります。さらに人口増で水不足が懸念されているということです。

ウォーター・フットプリントを計算する!

地球が抱える水問題に取り組むためにはこのウォーターフットプリントを把握することで、どの国に水が不足しているのか、どの国の水に頼っているのかを理解していく事は重要です。世界中の私たちが利用可能な限りある水の有効かつ平等に活用することを促進するために「water footprint network(ウォーターフットプリントネットワーク)」という団体がインターネットを通じて様々な情報を提供しています。

Waterfoot print network
Waterfoot print network :https://waterfootprint.org/

このウェブサイトでは、自分が年間どれくらいの水に頼っているのかを概算版と詳細版で計測が可能な「Personal water footprint Calculator」があります。

概算版では国名、食のスタイル、年収の概算を入力するだけでおおよその年間使用量が計算されます。例えば、日本人で、肉を好んでよく食べる男性、年収4万ドルの人のウォーターフットプリントを計算すると年間1,296㎥と算出されます。ちなみに1㎥=1,000Lという事ですから、この日本人男性は1日3,550リットルの水に頼っているという計算になります。

Personal water footprint calculator
Personal water footprint calculator :(概算版)https://waterfootprint.org/en/resources/interactive-tools/personal-water-footprint-calculator/

概算版でも何となくその使用量が分かりますが、より正確なウォーターフットプリントを計算するための詳細版も用意されています。こちらは、データをかなり細かく入力します。例えば1週間平均の穀物、肉の消費量やコーヒー、紅茶などの消費、お風呂や洗濯の回数なども入力します。興味がある方はトライしてみてください。

>>ウォーターフットプリントを計算する(詳細版)

水の輸入量が多い日本が考えていくべき事

冒頭でも述べた通り、海に囲まれ多くの河川がある日本にいると水に困るような事が無いようにも感じてしまします。しかしながらウオーターフットプリントで見ると、米国、カナダ、オーストラリアなどは仮想水の輸出量が多い国であることに対して、日本や韓国、ヨーロッパ、中東などは海外からの仮想水の輸入量が比較的多い国であると言えます。

日本は食糧自給率もカロリーベースでみると昭和40年には73%あった数値が現在では38%まで落ち込んでいることから近年食料の多くを輸入にたよっている事が分かります。水が農業用水に使われることが多い事を考えても、農作物の輸入量が多い日本は仮想水の輸入量も多くなっているのと同じことを意味していると言えます。

日本のウォーターフットプリントの推定:東京大学生産技術研究所沖研究室資料より 資源ドットネット
日本のウォーターフットプリントの推定:東京大学生産技術研究所沖研究室資料より

日本は今後人口減少により、出生率の低下と高齢化社会の問題に向き合っていく事になります。人口の減少は水資源の利用量の減少に直結するとは言えず、地方が過疎になり、都市部に人が集まることでよりウォーターフットプリントの数値は上昇するかもしれません。また農業従事者の減少は食糧自給率の低下につながり同数値の上昇につながります。都市化による自然災害の発生などは、水供給に大きな影響を与えるでしょう。

 

水不足の問題はこのように様々な問題を総合的に考えていかなければなりません。ただ自分たちが利用する水の量を節約するだけでどうにかなる問題でもなく、ウォーターフットプリントで見るように大きな水の流れも考えていかなければなりません。現代社会で水は無駄に使われ、汚染水となってしまったり、再利用できないような形で消費されているものも少なくありません。このような利用を続ければやがて人が利用できる水資源は益々減っていきます。

まず考えていかなければならないのは地球環境の改善、そして都市化を含め人が作ったルールがそれらを邪魔していないかという根本的なところです。水不足の問題をより多くの人が知り、考えていく事が大切です。

【参考文献】

深刻化する水問題 資源ネット
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