2035年には米国の電力供給全体の40%が太陽光発電へ

2035年には米国の電力供給全体の40%が太陽光発電へ

米国の脱炭素化に向けたシナリオ

米国は2020年11年、バイデン政権となり新たな環境政策を打ち出しました。バイデン政権の公約では、遅くとも2050年までに100%クリーン・エネルギーとして、温室効果ガスの排出量を実質ゼロを達成すると発表しています。この中で2035年までには電力セクターにおいてCO2ゼロを実現するともしています。(公約全文:バイデン公式サイト

米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)のレポートによれば、太陽光発電は急速に広がっていて、このペースでいけば2035年までに現在アメリカの家庭に供給している電力の供給量を上回るとしています。これにより電力価格を上げることなく国の電力の40%をまかなえるようになると試算しています。

多様で持続可能なエネルギー構成

電力セクターの脱炭素化は太陽光を中心に急激に進んでいて、2025年までは毎年30GW の発電容量が設置されていて、2025年~2030年の5年間は毎年60GWのペースで発電容量が増加されるとしています。

風力発電 資源ドットネット
カリフォルニア州に広がる風力発電の風景

持続可能なエネルギーグリッドは多様性によりその安定供給をカバーするため、その構成比は太陽光40%に加え、風力が36%、原子力が11%~13%、水力発電が5%~6%、およびバイオパワー・地熱では1%をまかなう計画になっています。

雇用創出と経済効果

これら再生可能エネルギーグリッドの構築は、新しい雇用創出の機会であるともしていて、太陽光発電だけでも2035年までに全米で50万~150万人規模、グリッド全体では300万人規模での新規雇用が発生するとしています。炭素排出量の削減は大気の改善や健康への良い影響などを考慮すると、1.1兆ドルから1.7兆円の財政コスト削減にもつながると試算され、上昇基調にある一般家庭の電気料金なども2035年までに上昇するようなことは無いとしています。

このような発表は米国民にとっては、COVID-19で縮小した経済から回復していく、未来に向けた不安をかき消すとてもうれしいニュースであり、希望ある報道にもなります。

我が国にも国民に分かりやすい目標を

現在、日本でも環境省や経済産業省を中心にグリーン成長戦略を元に具体的な戦略が練られています。しかしながら、省庁で言い分や発表内容にずれたがあったり、そもそも1本筋が入った野心的な目標と進捗の報告が全くないと言ってよい状態です

今回米国が出したような経済効果と雇用創出について、再生可能エネルギーの普及の進捗という裏付けも出しながら、国民の不安を取り除いてもらいたいものです。

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