ECHONETは日本の省エネ住宅の標準規格として定着するか?

ECHONET(エコーネット)とは?

ECHONET(エコーネット)は、現在世の中にある一般家庭で使われる家電品や情報通信機器など、電力を必要とする機器を上手に活用するために必要なホームエネルギーマネージメントシステム(HEMS)を構築するための統一な通信規格「ECHONET Lite」を規定する団体です。

公式ウェブサイト:https://echonet.jp/

ECHONET Lite 資源ドットネット

このような通信規格を定める事で、それぞれの機器の電気利用量や動作状況などを共有し、電気の使用量の効率化を実現することが可能です。これにより、1つ1つの家でのエネルギー使用量を最適化することでエネルギーの無駄な利用を防ぎ、省エネを実現する事ができます。

ECHONETが必要な背景

電力需給問題と電気料金の高騰

人々の暮らしが便利になっていくにつれてエネルギー確保については年々大きな課題になってきています。特に電気、ガスなど私たちの暮らしを支えているエネルギーについては、1家庭での利用量は益々増えていきます。

発電所 統一規格

一方で2011年の東日本大震災以来、日本の電力需給は大きな課題を抱えています。電力確保のための発電は80%以上を火力発電に頼るようになり、その発電に必要な燃料の殆どを海外からの輸入になよっています。つまり日本は電気の殆どを海外から購入している状態にあります。この燃料価格は上昇しているため、私たちの電気料金も上昇しています。これは本当に深刻な問題になってきました。

つまり社会での電力利用は益々増えているのに、発電所は限界を迎えているという事です。

省エネ技術を統合する

省エネ機器や、IoT製品などは現在世の中に様々なものがあります。家庭内の電気製品の稼働状況や電気の使用量などを見える化するためには、それら製品からのデータを1カ所にまとめて表示させホームエネルギーマネージメントシステム(HEMS)を構築する必要があります。

そのためには、統一のルールをつくらなければなりません。そうでないと、例えば太陽光パネルはA社製だが、蓄電池はB社製のものをつかっていたときに、A社のものはHEMSに取り入れられるが、B社の情報はHEMSでは表示されないなどの問題がおこり、家庭全体のエネルギーを正確に管理できなくなってしまいます。

統一の規格を設定する事より、どのようなメーカーのものでもHEMSに取り入れて使えるようにする必要があります。

ECHONET Liteの特徴

ECHONET Lite(エコーネットライト)は現在すでに多くのIoT機器が採用しています。この規格に準拠した家電製品などは、HEMS機器などと通信することが可能な通信ポートを備えていて、機器の運用状況をデータ送信してモニタなどに表示します。クラウドなどと接続されて、出先などから設定やコントロールが可能になるものもあります。

エコーネット 資源ドットネット
壁などにかけられたモニターと通信して電気量などを表示

ECHONETには以下のような特徴があります。

HEMS関連機器を中心に様々な機器に搭載

ECHONET Lite 規格は家庭内にある様々な機器に対応しています。特にHEMS関連重点8機器といわれる以下のものを中心に展開されています。

  • 太陽光発電
  • 燃料電池
  • 蓄電池
  • EV-PHV
  • 給湯器
  • エアコン照明器具
  • スマートメーター

現在では、WiFiルーターや冷蔵庫、オーブンレンジなど様々な商品に展開されています。

クラウド上のサービスと連携

ECHONET Liteは、モバイル通信や家庭のインターネット接続などを利用して、インターネット上のクラウドサービスと連携し、出先でも自宅の電気の使用状況などを確認できます。もちろん設定や機器のON/OFFなどの制御にも利用可能です。機器自体を自宅のネットワーク環境に接続するだけでECHONET Lite規格の製品同士が通信できるようになるため、特別なネットワークをインターネットと別に用意する必要もありません。

ECHONET規格の課題

ECHONET規格はその機器に実装しなければならないハードやソフトがかなりありましたが、ECHONET Liteの登場により、ネットワーク部分は現在の家庭内ネットワークにその仕事をほとんど任せて、アプリケーションレベルでの通信にきりかわっています。そのおかげで機器の開発はより楽になったものの、ネットワーク部分を従来のネットワークの規格に任せたことでその存在価値はほとんどなくなってしまいました。

家庭内で使う省電力なIoT家電では、製品がECHNONET Liteの認証を受けることを考えると、特に共通規格がなくとも相互に乗り入れる仕組みは考えやすく、海外の巨大IT企業がリリースするホームテクノロジー(Amazon EchoやGoogle Homeなど)の規格で使えるようにした方がより簡単で、ニーズも多くある状態です。

しかしながら電力会社など関係する、太陽光発電や蓄電池などの強電分野などでは、その安全性などの付加価値からEchnonet やECHNONET Liteの認証制度は必要になってくるかもしれません。

いずれにせよ、規格で顧客の囲い込みをするという発想ではなく、ユーザーや開発者の利便性を重視した規格の活用にしなければ、ユーザーからの支持を得ることはできず、逆にTESLAなど海外勢が強電エリアにも進出してきていることから、そのエリアでの存在意義も薄れてきてしまいます。

環境問題は人類にとって大きな問題です。ECHONETに求められるのは日本古来の規格作りではなく、グローバルに通用し、世界の一般ユーザーに認められる規格作りということになります。