エンゲルスベリの製鉄所

エンゲルスベリの製鉄所（Engelsberg Ironworks）は、スウェーデンのヴェストマンランド地方のエンゲルスバーリ村に位置する世界遺産です。この製鉄所は、18世紀に建設され、北欧で最も保存状態の良い製鉄所の一つとして知られています。

エンゲルスベリの製鉄所は、ゴットヘム(Gottgörel)川の岸に位置しており、製鉄のために必要な水力を利用していました。この場所は、鉱石や木材の供給にも恵まれており、製鉄所の設置に適した環境でした。製鉄所は、まず鉱石を溶かして鉄を抽出し、その後、鋼を製造するための鍛造所や加工施設がありました。

エンゲルスベリの製鉄所は、1727年に建設され、19世紀初頭まで稼働していました。製鉄所の運営は、数世紀にわたって何度か所有者が変わりましたが、製鉄所の重要性は維持されました。この製鉄所は、スウェーデンがヨーロッパでも有数の製鉄国となる一助となり、スウェーデンの産業化に大きく貢献しました。

エンゲルスベリの製鉄所は、その建物や機械が保存され、当時の製鉄工業の様子を伝えています。製鉄所の建物は、木造の煉瓦造りで、当時の建築技術の一例として注目されています。また、製鉄所内には、水力発電所や鉱山の遺構も残っており、産業革命期の技術と環境の結びつきを示しています。

1993年に、エンゲルスベリの製鉄所は、ユネスコの世界遺産に登録されました。この製鉄所は、18世紀から19世紀にかけての製鉄技術と産業の発展を象徴しており、産業遺産としての価値が高く評価されています。また、製鉄所周辺の自然環境も美しく、観光地としても人気があります。

エンゲルスベリの製鉄所は、製鉄技術の歴史とスウェーデンの産業化の一環として、貴重な存在です。その保存状態の良さと歴史的な価値から、多くの人々が訪れ、その魅力に触れることができます。